Uターン男性杜氏修業 ~実家の造り酒屋 次代のホープに期待~邑南
2005年2月17日(木)
「妥協せず理想の酒を追い求めたい」-。邑南町の若者が実家の老舗造り酒屋にUターンし、今冬から杜氏(とうじ)を目指して修業している。杜氏や蔵人の後継者不足や高齢化が深刻化している中、県内酒造界の次代を担うホープとして関係者の期待を集めている。
同町原村で創業百十年を超す歴史を誇る「玉桜酒造」の桜尾尚平さん(24)。県酒造組合連合会によると、県内の造り酒屋の多くは外部から杜氏を招いており、経営者の肉親が杜氏を目指すケースは珍しい、という。
桜尾さんは、進路を模索していた三年前の広島大学在学中に、人の勧めで飲んだ特別純米酒が転機となった。「口当たりがソフトでしなやか。こんな酒もあるとは」と、桜尾さんは日本酒の概念を根底から覆され、酒造りに興味をひかれた。
卒業後は、日本酒の科学的研究を手掛ける「酒類総合研究所」(東広島市)で一年間、酒造りの基礎を学習。Uターンして、今冬から杜氏見習いとして第一歩を踏み出した。
「酒ができるか不安だった」(桜尾さん)が、今季は発酵のベースになる酒母造りを担当し、年明けには自ら手掛けた清酒が見事に仕上がった。指導する但馬杜氏(兵庫県)の中西円吉さん(69)は「気骨と才覚を備えている。三年後には立派な杜氏になる」と太鼓判を押す。
桜尾さんの理想は「滑らかで、優しさの伝わる酒」。将来は、全国新酒鑑評会で最高位の金賞を獲得したい、という。日本酒の需要が低迷している時代だが「選んだ道に後悔はない。消費者の言葉に耳を傾け、誰からも親しまれる酒を造りたい」と、桜尾さんは極上の一滴を目指して研さんを重ねている。
-平成17年2月13日(日)山陰中央新報転載記事-
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