しまね酒肴散歩28 年末年始特別編
-山陰中央新報転載記事-
出雲市小境町の佐香神社は、酒造りの神である久斯之神をまつり、古代から信仰を集めてきた。
毎年10月13日の大祭に濁り酒を醸し、より良い酒を目指す酒造関係者らの祈りが脈々と受け継がれている。
「佐香」は酒の起源を物語る名で、島根が日本酒発祥の地とされていることを、私はとても誇りに思う。
もう1月6日だから「おせち」は片づいただろうが、冬場はおいしい料理がいっぱいある。
味がしみ込んだ「おでん」、アラのこくとうま味がたっぷりの「あら大根」、酒粕が味を奥深くする鱈の粕漬け焼きなど冬の定番料理はしっかりした味付けのものが多い。
こうした料理には地酒、特に米・米麹を原料として造った純米酒がぴったりだ。
純米酒は香りが穏やかで、ふくよかな味わい、こくがあってしっかりしたうま味のある酒がそろっているからだと思う。
人間も同じかもしれないが、料理と酒は似た者同士が相性がいいらしい。
他方、湯どうふなどあっさりしたものなら、「初しぼり新酒」を楽しんでほしい。
日本酒は寒に仕込み、ちょうど今ごろ各蔵元では造ったお酒がしぼられて、ピチピチしたフレッシュな味わいの酒が出回る。
自然に恵まれ、伝統ある出雲杜氏、石見杜氏の優秀な技で醸す島根の酒は個性派ぞろい。
昨年10月、県内23ヵ所の蔵元の地酒を一堂に集めた「しまねの地酒フェア」が東京都内であったが、大変な反響だったのを覚えている。
冷酒も燗酒もよし、もちろん常温でもおいしく飲める時季に感謝しながら、さて、佐香神社に初詣でに行ってこよう。
酒匠・日本酒学講師、三谷尊文=松江市東本町
01109



