しまね酒肴散歩33 出雲富士 上撰
-山陰中央新報転載記事-
富士酒造合資会社
富士酒造合資会社
「経験が少ないから機械に頼らず、手づくりの感覚をたたき込む」。 今岡一朗代表の息子で杜氏3年目の稔晶さん(27)は、若さと心意気を前面に伝統の酒造りに挑んでいる。 その証しが、蒸し上がりの良い木製の和釜蒸しをはじめ、手づくり麹、醪をゆっくりしぼる木槽しぼりへのこだわりだ。
当然ながら重労働で手間がかかるが、高級酒だけでなく普通酒まで全量で徹底して工程を踏む。こんな酒蔵は全国的に珍しい。
麹室の加温には遠赤外線の効果をもたらす炭を燃やす。仕込水は市南部のわき水を使い、この近くで島根特産「佐香錦」を守る出雲産酒米プロジェクトも展開中だ。
今回紹介するのは、稔晶さん自薦の「出雲富士 上撰」。あえて普通酒にしたのは、酒蔵の自信の表れだろう。木槽しぼりによる優しい風味が残り、旨口で切れが良い。常温から燗でさらにおいしくなる。
酒匠・日本酒学講師、三谷尊文=松江市東本町
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